小语种日语:一级阅读3

文章作者 100test 发表时间 2007:03:14 19:00:31
来源 100Test.Com百考试题网


大きな国と、それよりすこし小さな国とが、となり合っていました。当時、その二つの国の間には、何事も起こらず、平和でありました。

  ここは、都から国境であります。そこには、両方の国から、ただ一人ずつの兵隊が派遣されて、国境を定めた石碑を守っていました。大きな国の兵士は、老人でありました。そうして、小さな国の兵士は青年でありました。

  二人は、石碑の建っている右と左に、番をしていました。いたってさびしい山でありました。そして、まれにしか、その辺を旅する人影は、見られなかったのです。

  初め、たがいに顔を知り合わない間は、二人は、敵か味方かというような感じがして、ろくろくものも言いませんでしたけれど、いつしか二人は、仲良しになってしまいました。二人は、ほかに話をする相手もなく、たいくつであったからであります。そして、春の日は長く、うららかに頭の上に照りかがやいているからでありました。

  ちょうど国境の所には、だれが植えたということもなく、一株の野薔薇が茂っていました。その花には、朝早くからみつばちが飛んできて集まっていました。その速い羽音が、まだ二人のねむっているうちから、夢心地に耳に聞こえました。

  「どれ、もう起きようか。あんなに蜜蜂がきている。」と、二人は、申し合わせたように起きました。そして、外へでると、果して、太陽は、木の梢の上に元気よくかがやいていました。

  二人は、岩間から湧き出る清水で口をすすぎ、顔をあらいにまいりますと、顔を合わせました。

  「やあ、おはよう。いい天気でございますな。」

  「本当にいい天気です。天気がいいと、気持ちが清々します。」

  二人は、そこで、こんな立ち話をしました。互いに頭をあげて、辺りの景色をながめました。毎日見ている景色でも、新しい感じを、見るたびに心にあたえるものです。

  青年は、最初、将棋の歩み方をしりませんでした。けれど、老人についてそれを教わりましてから、このごろは、のどかな昼ごろには、二人は、毎日向かい合って、将棋を指していました。

  初めのうちは、老人のほうがずっと強くて、こまを落として指していましたが、しまいには、当たり前に指して、老人が負かされることもありました。

  この青年も老人も、いたっていい人々でありました。二人とも正直で、親切でありました。二人は、一生懸命で将棋盤の上で争っても、心は打ち解けていました。

  「やあ、これはおれの負けかいな。こう逃げ続けては、苦しくてかなわない。本当の戦争だったら、どんなだかしれん。」と、老人は言って、大きな口を開けてわらいました。

  青年はまた、勝ち味があるので、うれしそうな顔つきをして、一生懸命に目をかがやかしながら、相手の王様を追っていました。

  小鳥は、梢の上でおもしろそうに歌っていました。白い薔薇の花からは、よいかおりを送ってきました。

  冬は、やはりその国にもあったのです。寒くなると、老人は、南の方をこいしがりました。その方には、せがれや孫が住んでいました。

  「早く、ひまをもらって帰りたいものだ。」と、老人は言いました。

  「あなたがお帰りになれば、知らぬ人がかわりに来るでしょう。やはり親切なやさしい人ならいいが、敵、味方というような考えを持った人だとこまります。どうか、もうしばらくいてください。そのうちには、春がきます。」と、青年は言いました。

  やがて、冬が去って、また春となりました。ちょうどそのころ、この二つの国は、何かの利益問題から戦争を始めました。そうしますと、これまで、毎日なかむつまじくくらしていた二人は、敵、味方の間がらになったのです。それが、いかにも不思議なことに思われました。

  「さあ、お前さんとわたしは、今日からかたきどうしになったのだ。わたしは、こんなに老いぼれていても少佐だから、わたしの首を持っていけば、あなたは出世ができる。だから、殺してください。」老人は言いました。

  これを聞くと、青年はあきれた顔をして、「何を言われますか。どうして、わたしとあなたとが敵どうしでしょう。わたしの敵は、ほかになければなりません。戦争は、ずっと北の方で開かれています。わたしは、そこへ行って戦います。」と、青年は言い残して、去ってしまいました。

  国境には、ただ一人、老人だけが残されました。青年のいなくなった日から、老人は、呆然として日を送りました。野薔薇の花がさいて、蜜蜂は、日が上がってからくれるまで群がっています。今、戦争はずっと遠くでしているので、たとえ耳をすましても、空をながめても、鉄砲の音も聞こえなければ、黒いけむりのかげすらみられなかったのであります。老人は、その日から、青年の身の上を案じていました。日はこうして経ちました。

  ある日のこと、そこを旅人が通りました。老人は、戦争について、どうなったかとたずねました。すると。旅人は、小さな国が負けて、その国の兵士はみな殺しになって、戦争は終わったということを告げました。

  老人は、そんなら青年も死んだのではないかと思いました。そんなことを気にかけながら、石碑の礎にこしをかけてうつむいていますと、いつかしらず、うとうとと居眠りをしました。かなたから、大勢の人の来る気配がしました。見ると。一列の軍隊でありました。その軍体はきわめて静粛で、声一つ立てません。やがて、老人の前を通るときに、青年は、黙礼をして、薔薇の花をかいだのでありました。

  老人は、何かものを言おうとすると、目が覚めました。それは、全く夢であったのです。それから一月ばかりしますと、野薔薇がかれてしまいました。

  その年の秋、老人は、南の方へひまをもらって帰りました。

  言葉の解説

  番をする/ 見張りをする

  ろくろくものも言いません/ まともなものも言いません。十分にお話もしません。

  当たり前に指す/ こまを落さないで指す

  どんなだかしれん/ どんな様子だか知れません

  青年の身の上を案じていました/ 青年の運命を心配していました

  かの青年でありました/ あの青年でありました

  手引き

  1 二人の心の結び付きがよく表れているところを、ぬきだしてみましょう

  2 野薔薇がかれたことから、どんなことが想像されますか。また「野薔薇」という題がなぜ付けられたのか、考えてみましょう。

  3 二人の兵士が仲良になった理由はどのように書かれているでしょうか。その理由を、さらにほり下げて考えてみましょう


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