明朗仮面症候群 弱みを隠し、ことさらにネアカを装う 永浜敬子 不動産業で主任を務めるJさんは、いつもジョークを言って周囲を笑わせ、宴会でも盛り上げ役だ。「Jさんは悩みがなくていいねえ」と言われることも多い。仕事に対してもポジティブに取り組み、業務もそつなくこなす。誰からも明るくいい人と評判で、上梓からの信頼も厚い。 ところが、あるとき仕事でミスをして上司から注意を受けた。そこでつい笑ってごまかしたJさんは、上司から「( A )するな!」ときつく叱責を受けた。その日を境にJさんは会社に出てこなくなった。 「今の世の中は、明るいことがよしとされています。僕は“明朗仮面”という言葉を使うのだけど、世間では明るいということが大事だと思うから、とてもセンシティブなのに、( B )をしているケースがある。もともと日本人には根暗のほうが多いわけで、明るい人が好かれるから本来の自分を殺して明るい仮面をかぶるんです」と夏目教授は語る。 人は見るからに神経質な相手には、言葉を選んで話をするが、元気で明るい相手には「これくらいは許されるだろう」と、きつい冗談を投げることがある。( C )、それも愛情表現のひとつなのだが、仮面をかぶっている人にとっては、プライドがひどく傷つくことがある。 「同じ言葉を言っても人によって受け取り方が違います。注意するときは、相手の性格を見極めることが大切です。職場でちゃんとしたコミュニケーションがあれば、明朗仮面を傷つけることは避けられます。しっかり目を配っていれば彼らは、明るく振る舞ってはいるけれども、ショックを受けやすいということが読める。そうすれば自ずと( D )」(夏目教授) ここで大切なことは、心をオープンにできるかどうか。人間誰しも長所もあれば短所もある。自分には強い面もあればもろい面もあるということを本人が自覚することから解決の糸口が見えてくる。